七宝焼(七宝焼き)って?
金・銀・銅などの金属素地に、
ガラス質の釉薬(うわぐすり)を施し、
高温で焼成して作り上げる
「伝統工芸品」のひとつです。
熟練、かつ、繊細な技術で、
いくつもの工程を繰り返します。
宝石のような、美しい彩りと輝きを持つことから
「七宝焼」と呼ばれました。
古くは、エジプトを発祥・起源とされ、
ツタンカーメンの黄金のマスクなどにも
その技法が使われています。
ヨーロッパや中東アジアにも伝わり、
各地で独自の製法や技法、意匠の発展があり、
装飾品や教会などの建造物にも用いられてきました。
近年では、自動車のエンブレムにも使われました。
現在でも、フェラーリ・アルファロメオ、
日本の国産高級車で使われています。
日本には、シルクロードを経て、
飛鳥・奈良時代に伝わり、
大変高価なものとして珍重されました。
時を経て、文化と歴史の中で独自の発展もあり、
江戸・明治の頃、現在の愛知県あま市(七宝町)で
制作や研究が多く行われました。
その後、全国各地で、
美術品や工芸品として盛んに制作され、
多様な業界にも取り入れられました。
現在では、造幣局で制作される「勲章」にも、
七宝焼(七宝加工)が使われており、
各界の方々からも
「幸福を運ぶ品物」として幅広く愛されています。
七宝焼と七宝の違い
私たち湘南七宝燒では
「七宝焼」と「七宝」をこだわり使い分けます。
基本的な技術、技法(七宝加工)は同じですが、
完成作品の形状で区分しています。
古来より「七宝焼」を略して「七宝」と呼ばれます。
本来の「七宝」は
仏教で貴重な品、宝物を意味する言葉です。
そのような焼き物、制作品であることから
「七宝焼」の名で呼ばれるようになったとされています。
このことから「七宝焼」と区別した方が
分かりやすいと考えています。
現在では、金属加工(金工)の技法のひとつともされる
「七宝加工」ですが、完成品で分けることができます。
金属素地が作品表面にデザイン(意匠)として
見てとれるものが「七宝」です。
「勲章」に代表されるものがこれにあたります。
金属素地を「釉薬」でほとんど全てを覆い、
焼成して仕上げて制作しているのが
「七宝焼」と区分・区別できます。
当工房で制作する作品の多くはこれにあたります。
細かな違い・相違のように思われる点ではありますが、
私たち「湘南七宝燒」が
「七宝焼き、七宝焼」と称しこだわる所以でもあります。
ちなみに、近代の七宝焼(尾張七宝)の祖と云われる
「梶常吉」は「七宝焼」と称していました。
*文献・資料に基づく。
このことからも、当工房では、
「七宝焼」という呼び名を
主に使用してゆきたいと考えています。